フィクション · 18+足・温泉2分で読めます

裸足の日曜日

毎週日曜日、彼女は温泉街の足湯に裸足をひたした。彼はその動画だけを待っていた。

Nail polish bottles on a purple surface
Photo: Cut Collective · Unsplash

兵庫県の城崎温泉には、町のあちこちに足湯がある。柳の並木、石の橋、浴衣で下駄を鳴らして歩く人たち。小林美咲はこの町の旅館の娘で、二十九歳になった今も実家を手伝っていた。

日曜日の朝、観光客が来る前に、彼女は浴衣を着て足湯へ行った。下駄を脱ぎ、白い足をゆっくりお湯にひたす。それが一週間で一番好きな時間だった。

彼女はOnlyFansに認証済みのページを持っていた。そこでは日曜日の足湯がシリーズになっていた。お湯の中で揺れる足の指。湯気の向こうの柳。濡れた足を手ぬぐいで包む手。顔は、彼女が望んだときだけ。会うことは決してない。

メッセージ

ある日曜日、一通のメッセージが届いた。

いつも日曜日の動画を楽しみにしています。私は大阪の工場で夜勤をしていて、日曜日の朝に帰ってきてあなたの動画を見ます。それから眠ります。お湯の音を聞くと、よく眠れるんです。

名前は大輔。四十代の男性で、一年以上ずっと購読していた。失礼なことを一度も書いたことがなかった。

美咲はそのメッセージを何度も読んだ。誰かが自分の足湯の音で眠っている。不思議で、少し嬉しかった。

特別な動画

彼女は彼のためだけの動画を作った。カスタムのリクエストとして、彼が選んだテーマで。彼の希望は一つだけだった。「お湯の音を、長く」。

その日曜日、雪が降っていた。美咲は浴衣に羽織をかけ、雪の中を足湯へ歩いた。下駄の跡が白い道に残った。

足湯に着くと、冷えた足をお湯にゆっくり入れた。赤くなった指先がお湯の中で少しずつ白く戻っていく。カメラをお湯のすぐそばに置いて、十五分間、何も話さなかった。雪が湯気の中で溶ける音だけがあった。

最後に、手ぬぐいで足を包み、カメラに向かって小さな声で言った。

大輔さん、おやすみなさい。

返事

彼の返事は、月曜日の夜に届いた。

一番よく眠れた日曜日でした。起きてから、妻が亡くなってから初めて、自分で朝ご飯を作りました。

美咲は旅館の帳場でそれを読み、しばらく顔を上げられなかった。

それから

彼女は毎月、彼のために一本、長い足湯の動画を作るようになった。春は桜の花びらが浮かぶお湯。夏は夜の足湯と浴衣の裾。秋は紅葉と、少し冷たい石の縁に置いた素足。

彼は毎回、短い感想を書いてきた。今月は、川の音も聞こえました。

ある日、彼が書いた。いつか城崎に行って、同じ足湯に足を入れてみたいです。あなたに会うためではなく、同じお湯を感じるために。

美咲は微笑んで返事をした。どうぞ。柳の下の三番目の足湯です。日曜日の朝は、まだ温かいですよ。

この物語はフィクションです。登場人物はすべて架空の成人(18歳以上)であり、実在の人物との類似はすべて偶然です。

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